このページの要点

  • うまくいかないケースの共通点は、電話は外に出たのに「その電話をどうするか」という仕事が社内に残っていること
  • 報告が全部戻る、報告を見ても次が分からない、取次と終了の条件がない、ルールを直していない、目的と範囲がずれている、料金だけで選んだ、の6つで整理する
  • 導入前に決めるのは、どの電話を届け、どの電話を受付で終え、何を聞いてから誰へ届けるか
  • すでに使っているなら、受電件数ではなく、社内へ戻ってきた仕事を見る

電話代行を入れたのに、仕事が減らないことがある。

電話代行の導入で外に出るのは、まず「電話を取る」という工程です。そのあとの確認、振り分け、判断、報告が社内に残れば、電話対応全体の負担は思ったほど減りません。

電話対応は、受ける、聞く、分ける、届ける、社内で対応する、という流れでできています。電話代行に任せると「受ける」は確実に外へ出ます。ただ、そのあとの工程がどこまで外に出るかは、受付をどう設計したかで変わります。

うまくいかないケースに共通するのは、次のような状態です。

  • すべての電話が同じように報告される
  • 誰宛か分からず、社内で振り分け直す
  • 用件が足りず、もう一度確認する
  • 営業電話まで毎回確認する
  • 取り次ぐか折り返すかを社内へ聞かれる
  • ルールにない電話のたびに判断が戻ってくる

電話を取る人が変わっても、電話のあとに動く人が変わらなければ、仕事はあまり減りません。以下では、この状態が起きる構造を6つに分けて整理します。市場の統計ではなく、当社が相談や運用のなかで見てきた形を、この記事上で整理したものです。

失敗1|すべての電話が、そのまま社内へ戻ってくる。

失敗1は、受けた電話が種類を問わず1本ずつ社内へ報告され、必要な電話かどうかを社内で判断し直す状態です。電話は取ってもらえていても、判断の仕事は残ります。

受付で終える電話を決めないと、そのまま社内へ戻ってくる

当社に相談があった会社の、相談時点の状態です。その会社はすでに別の電話受付サービスを使っていて、受けた電話はすべてチャットのグループへ報告されていました。電話の多くは営業電話で、重要な電話は少数です。電話は取ってもらえていました。でも、届いた報告を社内で一件ずつ見て、必要な電話かどうかを判断する仕事は残っていました。宛先の表記が回によって揺れることや、用件が読み取れない報告があることも、確認を増やす原因でした。

相談で整理したのは、電話を取ってもらうことではなく、社内に何を届けるかです。営業電話は都度チャットへ流さず、まとめて記録して報告する。必要な電話だけをチャットへ届ける。用件によって届け先を分ける。この3つを決めれば、社内で報告を見て判断する仕事が変わります。導入後の成果としてではなく、相談時にこう整理した、という話です。

この会社では営業電話が目立っていましたが、構造は営業電話に限りません。電話代行が受けた電話を、種類を問わず同じ形で戻していれば、社内では受けた電話の数だけ判断が発生します。着信音がチャットの通知音に変わっただけでは、電話対応を外に出したことにはならない、という言い方を当社ではしています。営業電話をどこで終えるかは営業電話への対応を減らすには?に書いています。

失敗2|報告を見ても、
次に何をすればいいか分からない。

報告を受けた人が、もう一度電話の内容を調べる必要があるなら、受付で聞く情報が足りていません。報告の速さより先に、報告に何が書かれているかで、社内に残る仕事が決まります。

「○○様からお電話がありました」「折り返し希望です」という報告だけでは、次のことが分からない場合があります。

  • 何の用件か
  • どれくらい急ぐか
  • 誰が対応するか
  • 何を準備して折り返すか

この状態で折り返すと、担当者は電話口で用件を聞き直すところから始めます。相手は受付で一度話した内容をもう一度話すことになり、社内では誰が折り返すかを決める確認が先に発生します。報告は届いているのに、電話対応は減っていません。

連絡希望は、用件ではありません。折り返しに必要なのは、何の件で、いつまでに、どこへ、という情報です。受付でどこまで聞くかを決めていないと、報告は「電話があった」という事実の通知になり、その先の判断が社内へ戻ります。受付で聞く項目は、電話の種類ごとに決めておくものです。

失敗3|取り次ぐ電話と、
受付で終える電話が決まっていない。

全部取り次ぐ、全部折り返す、全部報告する、はルールとしては簡単ですが、社内の負担を減らす設計とは限りません。どの電話をその場でつなぎ、どの電話を受付で終えるかを決めていないと、決めなかった分の判断が社内へ戻ります。

取り次ぐ電話と、受付で終える電話を先に分けておく

電話の種類ごとに、次の対応を決めた例です。

  • 営業電話 → 受付で終了する
  • 営業時間・所在地など決まった問い合わせ → その場で案内する
  • 既存のお客様から担当者宛 → 条件に応じて取次、または折り返し
  • 請求・支払い → 経理へ届ける

「全部折り返します」の運用は、受付側の判断をゼロにする代わりに、判断をすべて社内へ渡しています。取り次いでほしかった電話が折り返しになれば担当者がかけ直し、受付で終えてよかった電話まで報告されれば誰かがそれを読みます。どちらも、電話代行の質というより、条件が決まっていないことが原因です。

条件によって対応を変える、用件によって次に聞くことを変える、といった分岐や追加質問は、決めた受付フローやルールに沿って再現できる範囲であれば、当社ではProfessionalで対応しています。分岐があるから任せられない、ということはありません。取次の5つの形と行き先の決め方は電話取次とは?電話をつなぐ前に確認したいことと効率化の方法にまとめています。

失敗4|マニュアルを最初に作ったまま変えていない。

導入時に決めた受付ルールは、運用が始まると、どこかで実態とずれてきます。ずれたまま使い続けると、ルールにない電話のたびに判断が社内へ戻り、最初は合っていたルールが負担の原因になります。

運用が始まってから起きることの例です。

  • 導入時に想定していなかった用件の電話が入る
  • 担当者や部署が変わる
  • 取り次いでほしい電話が折り返しになった
  • 届けなくてよい電話まで届く
  • 報告に、折り返しに必要な情報が足りない

どれも、起きること自体は失敗ではありません。失敗になるのは、起きたあとにルールが直らないときです。電話代行側が勝手に判断を変えるのではなく、利用企業と確認して受付ルールを直し、それを受付側のチームで共有する、という流れが必要になります。この流れがないと、同じ電話で同じ確認が繰り返されます。

最初に決めたルールより、使いながら直せるルールのほうが重要になります。自社で電話対応のルールを残す方法と、実際の電話から直していく回し方は電話対応マニュアルの作り方に、当社が運用開始後にルールを見直す仕組みは電話代行の運用改善にまとめています。

失敗5|電話代行に任せる範囲が、
自社の目的と合っていない。

電話代行がうまくいかない原因は、サービスの良し悪しより、やりたいことと任せている範囲のずれにあることがあります。できることが少ないから失敗するのではなく、目的と受付範囲が合っていないと失敗します。

電話代行を入れる目的は、会社によって違います。

  • 着信を逃したくない
  • 営業電話を減らしたい
  • 担当者への取次を減らしたい
  • 新規の問い合わせを聞き取ってほしい
  • 決まった内容まで案内してほしい
  • 社内の集中を守りたい

着信を逃さないことが目的なら、名前と連絡先を聞いて報告するシンプルな受付でも成立します。一方で、社内の仕事を減らしたいのに、すべての電話を「折り返します」で戻す運用にしていれば、目的と受付範囲が合っていません。電話代行の質が低いのではなく、任せている範囲が目的に届いていない状態です。

だから、うまくいっていないと感じたときに最初に確認するのは、サービスを変えるかどうかではなく、何のために電話代行を入れたのかと、いまの受付がその目的に届いているかです。届いていないなら、受付範囲を広げるか、目的を絞るかのどちらかで、その判断は乗り換えの前にできます。

失敗6|安いか高いかだけで選んでしまう。

同じ月額でも、どこまで聞くか、どこまで振り分けるか、どこまで案内するか、どう報告するか、取次ができるかで、社内に残る仕事は違います。見るのは料金の差ではなく、残る仕事の差です。

料金の安さ自体は、失敗の原因ではありません。料金を抑えたサービスは、受付の範囲や報告の方法を絞ることで料金を抑えていることがあります。それが自社の目的に合っていれば問題はなく、合っていなければ、社内に必要な仕事が残ることがあります。

比べるときに見るのは、月額の数字ではなく、その月額で何が社内に戻ってくるかです。名前と番号だけの報告で足りる会社と、用件を聞いて振り分けてほしい会社では、同じ料金の意味が違います。料金がどう決まるかは電話代行の料金はいくら?費用の仕組みと相場・比較するときの見方に、安いサービスの成り立ちは電話代行は安くても大丈夫?に、同じ条件で比べる方法は電話代行サービスの選び方にまとめています。

電話代行のトラブルを減らすために、
導入前に決めること。

電話代行の導入前に決めておくのは、どんな電話が多いか、どの電話を社内へ届け、どの電話を受付で終えるか、何を聞いてから誰へ届けるか、そしてルール外の電話の確認先と、運用開始後の直し方です。ここが決まっていれば、6つの失敗の大半は起きる前に防げます。

  • どんな電話が多いか
  • どの電話は社内へ届けるか
  • どの電話は受付で終えるか
  • 何を聞いてから届けるか
  • 誰へ届けるか
  • その場で取り次ぐ条件
  • 担当者が不在のときの対応
  • その場で案内してよいこと
  • ルールにない電話の確認先
  • 運用開始後に、どうルールを直すか
決めないまま始めると、受付は白紙のまま動きはじめる

10項目すべてを契約前に完成させる必要はありません。ただ、「どの電話は社内へ届け、どの電話は受付で終えるか」だけは、任せる前に決めておく価値があります。ここが空白のまま始めると、電話代行は安全側に倒して全部を報告し、失敗1の状態から運用が始まります。

受付ルールをどう設計するかは電話代行の運用設計に、契約前にサービスへ確認する項目は電話代行サービスの選び方にまとめています。

すでに使っているなら、社内へ戻った仕事を見る。

いまの電話代行を見直すなら、何本取ってもらったかではなく、そのあと社内へ何が戻ってきたかを見ます。実際の報告を何件か取り出して、それぞれの電話で誰が何を判断し直したかを確認すると、直す場所が見えます。

  • この電話は、社内へ届ける必要があったか
  • 受付で、もう少し聞けなかったか
  • その場で案内できなかったか
  • 届け先は合っていたか
  • 誰が判断し直したか
  • 毎回、同じ判断をしていないか

同じ判断が繰り返されているなら、その判断は受付ルールへ移せる可能性があります。「この相手からの電話は担当者へ」「この用件は経理へ」「営業電話はまとめて報告」のように、繰り返している判断を条件として書けるなら、次からは受付側で同じ対応ができます。

ただし、すべてをルールにできるわけではありません。当社のプランで言うと、Professionalは、決めた受付フローやルールに沿って再現できる受付です。Custom Designは、受付フローやルールだけでは対応が難しく、経験を要する判断を含む受付を個別に設計するプランです。分岐が多い、追加質問がある、通話が長い、というだけでCustom Designになることはありません。線になるのは、書いたルールを見れば同じ対応ができるかどうかです。

見直した結果、受付範囲を変えれば済むのか、いまのサービスではその範囲に対応できないのかが分かります。後者なら、そこで初めて乗り換えの検討になります。乗り換えるときに何を引き継ぐかは電話代行サービスの乗り換えにまとめています。

電話代行を見直すなら、何本取ってもらったかではなく、そのあと社内へ何が戻ってきたかを見る。電話を任せたあとにも、同じ判断を社内で繰り返しているなら、そこが次に見直す受付ルールです。