
このページの要点
- 問題は営業電話がかかってくることではなく、受けるたびに社内で確認・判断・取次の仕事が発生すること
- 対策は、取り次がないルール、断り方の統一、窓口の分離、受付を外に出す、報告をまとめる、の5つ
- 営業電話を減らせるかは相手次第。でも、営業電話で社内の仕事を増やさない受け方は決められる
営業電話で失うのは、通話時間だけではない。
営業電話の負担は、通話時間ではなく、受けるたびに発生する「誰に回すか」「断っていいか」の判断と確認の回数です。短い電話でも、出た人と担当者の両方の仕事が止まります。
営業電話が1本かかってきたとき、社内で起きていることを並べます。
- 営業電話が来る
- 社員が仕事を止める
- 相手と用件を確認する
- 担当者を聞かれる
- 取り次ぐかどうかを判断する
- 必要なら、社内で確認する
- 断る
- 元の仕事へ戻る
通話が1分で終わっても、「誰に回すか」「断っていいか」という判断は毎回残ります。しかも、担当者名を指定されると、出た人は取り次ぐべきか迷い、担当者に確認し、担当者の仕事も止まります。営業電話の負担は通話時間ではなく、この判断と確認の回数です。
だから、この記事で扱うのは断り文句のテクニックではありません。営業電話を、誰の仕事にも変えないためにどうするか、です。電話全体が仕事に割り込む構造は電話で仕事が中断される。集中を切らさない電話対応の考え方に書いています。ここでは、その中でも営業電話だけを扱います。
営業電話は全部断る。それでいいかを先に決める。
営業電話への対策で最初に決めるのは、何を営業電話とみなし、どこまでなら受付で終えてよいかです。営業電話にも種類があり、全部を同じに扱う必要はありません。ただし、分類を細かくしすぎると受付の判断が増えて逆効果です。
営業電話は、かける側にとっては正当な営業活動です。その中に、自社にとって必要な提案が含まれていることもあります。問題は営業電話がかかってくることではなく、その電話を受けるたびに社内で確認・判断・取次の仕事が発生することです。
ひとくちに営業電話と言っても、いくつかの種類があります。
- 明らかに不要な営業
- 現在取引のない会社からの新規の提案
- 過去に接点のある会社からの提案
- 担当者が情報収集したい分野の提案
- 既存の取引先からの新しい提案
全部を同じに扱う必要はありません。既存の取引先からの提案を営業電話として切ってしまえば、取引に影響します。一方で、5つに分けて受付で見分けようとすると、出た人の判断が増え、営業電話対策のはずが判断の仕事を増やすことになります。
決めるのは2つです。何を営業電話とみなすかと「どこまでなら受付で終えてよいか」。多くの会社では、「現在取引のない会社からの新規の提案は受付で終える。既存の取引先は営業扱いにしない」という線が、判断を増やさずに済む引き方です。
営業電話対策1|取り次がないルールを決める。
営業電話対策の1つ目は、取り次がない条件を会社として決めることです。決めておけば、電話に出た人が「これは通す?」と担当者に確認する仕事がなくなります。
ルールの例です。会社ごとに決めるもので、どれが正解というものではありません。
- 現在取引のない会社からの新規の営業提案は、取り次がない
- 担当者名を指定されても、営業目的の電話は取り次がない
- 特定の分野(たとえば採用や設備)の提案だけは、内容を預かって担当者へ届ける
- 既存の取引先からの電話は、営業の話でも営業扱いにしない
ポイントは、電話に出た人が個人で判断しなくて済むことです。ルールがないと、「担当者を名指しされたから通したほうがいいのか」「断って失礼にならないか」を、出た人がそのたびに考えます。ルールがあれば、考えるのは最初の1回だけです。
営業電話か取引先かの見極めは、電話応対の基本として受付で行います。ただし、営業電話を100%見分けられる方法はありません。判別の基準を決め、基準に当てはまらないものはそのまま報告する、という形が現実的です。
営業電話対策2|断り方を社内で統一する。
営業電話の断り方は、上手な言い回しを探すより、会社として決めたルールを伝える形に統一します。目指すのは「うまく断る」ではなく、誰が出ても同じ対応になることです。
断り方の例です。短く、会社の決まりとして伝えます。
- 「営業のご提案については、お電話でのお取り次ぎを行っておりません。」
- 「新規のご提案は、所定の窓口からお願いしております。」
- 「ご提案の内容は担当部署へお伝えしますので、会社名とご連絡先をお願いします。」
避けたいのは、その場しのぎの断り方です。担当者が在席しているのに「不在です」と伝える、相手を責めるような言い方をする、といった対応は、出た人によって変わり、会社の印象にも残ります。営業をかけてきた会社が、いつか取引先になることもあります。
営業電話の断り方を探している方が本当に求めているのは、たいてい言い回しではなく、断っていいのかどうかを自分で判断しなくて済む状態です。断り方を統一すると、その状態がつくれます。
営業電話対策3|営業用の窓口を分ける。
電話で営業提案を受けないなら、代わりの入口を決めておきます。問い合わせフォーム、営業提案専用のフォーム、メール窓口などです。電話でその場の判断を発生させないための方法です。
- 問い合わせフォームへ案内する。電話では「フォームからお願いします」と伝えて終える
- 営業提案専用のフォームやメール窓口をつくる。提案は受け取るが、電話ではなく文面で受ける
- 提案を確認する頻度を決める。週に1回まとめて見る、担当者が必要なものだけ返す
窓口を分けても、営業電話がかかってくること自体はなくなりません。電話をかける側は、窓口があってもまず電話をかけます。ただ、受付で「窓口はこちらです」と案内して終えられるので、その場で通すか断るかを判断する仕事はなくなります。
必要な提案を受け取る道を残したまま、電話の割り込みだけを止める。窓口の分離は、そのための方法です。
営業電話対策4|電話受付を社内の外へ出す。
電話代行などの受付を間に入れると、相手、用件、営業目的かどうか、誰宛かを受付で確認し、決めた条件に沿って営業電話を受付で終えられます。ただし、電話代行を使えば営業電話を必ず判別できる、というものではありません。
受付を外に出す意味は、営業電話に社員が出なくなることではなく、対策1で決めたルールを、社員ではなく受付が実行することにあります。受付が確認するのは、次のようなことです。
- 相手(会社名、名前)
- 用件
- 営業目的かどうか
- 誰宛か
- 取引のある相手か、新規か
当社の場合、営業電話か取引先かの見極めは全プランで行い、営業電話はお断りします。取り次がない条件、預かる分野、既存取引先の扱いといったルールは会社ごとに決め、決めた受付フローやルールに沿って再現できる受付はProfessionalで対応します。条件によって対応を変える、追加で確認する、といった分岐があっても、ルールとして整理できればこの範囲です。フローやルールだけでは再現しにくく、経験を要する判断を含む受付は、Custom Designで個別に設計します。
営業電話を受付段階でどう扱うかの具体的な設計は営業電話を社内に入れない電話代行に、電話代行でできること全体は電話代行で電話対応を任せるにまとめています。
営業電話を、全部報告する必要もない。
営業電話を受付で終えても、その報告が1本ずつ社内に届けば、報告を見る仕事が残ります。営業電話は都度通知せず、まとめて記録・報告する形にすると、営業電話を受けない状態だけでなく、営業電話の報告を見る仕事まで減らせます。
受付で営業電話を終えたあと、その記録をどう扱うかも決めておきます。1本ずつメールやチャットで通知されると、営業電話が10本あれば10回通知が届き、そのたびに誰かが「これは見なくていい」と確認することになります。受付で終えたはずの営業電話が、通知という形で社内に戻ってきます。
当社の場合、営業電話は都度チャットへ通知せず、日報にまとめ、必要な電話だけをチャットへ報告する運用ができます。標準機能の範囲で、適用プランは料金・プラン仕様に従います。営業電話の記録は残るので、あとからどんな営業があったかを確認したいときは日報を見れば分かります。
すべての会社でまとめる必要はありません。営業電話も都度見たい会社もあります。決めるのは、営業電話の記録を都度見る必要があるかどうかです。報告の仕組みは電話内容の報告・取次にまとめています。
営業電話の報告を読む仕事が、残っていた会社。
電話を取ってもらっていても、営業電話の報告が1本ずつ届いていれば、それを確認する仕事は社内に残ります。当社への相談で、実際にそうなっていた会社の話です。
相談の時点で、その会社は別の電話受付サービスを使っていました。受けた電話はチャットのグループに1本ずつ報告される仕組みで、月の電話は50件前後、ある月は38件でした。中身は、ほとんどが営業電話です。重要な電話はほとんどなく、営業電話には折り返さず、報告が溜まっていくだけになっていました。
電話には出てもらえています。ただ、営業電話の報告も必要な電話の報告も同じグループに届くので、社内では結局、届いた報告を1件ずつ見て、対応が要るかどうかを確認していました。報告の宛先の書き方が回によって違うことや、用件が読み取れない報告があることも、確認の手間を増やしていました。
相談で当社が提案したのは、営業電話は都度チャットへ流さずまとめて報告し、必要な電話だけをチャットへ届け、用件に応じて報告先を分ける、という受け方です。電話を取ってもらうことと、営業電話の報告を見る仕事がなくなることは、別の話でした。
決めるのは断り方より、どこで終えるか。
営業電話対策で決めるのは、断り方ではなく、営業電話をどこで終えるかです。何を営業電話として扱い、どれを社内へ届け、誰が判断し、記録を都度見るかどうかを決めれば、営業電話は誰の仕事にもなりません。
- 何を営業電話として扱うか
- どの営業電話なら、社内へ届けるか
- 誰が判断するか(電話に出た人か、受付か、ルールか)
- 受付で終えてよい条件は何か
- 営業電話の記録を、都度見る必要があるか
- 必要な提案の入口を、別に用意するか
この6つが決まると、断り方は自然に決まります。決まった条件を伝えるだけだからです。逆に、ここが決まっていないと、どんなに上手な断り文句を用意しても、出た人が今回は通すべきかを考え続けます。
営業電話を減らせるかは、相手次第です。でも、営業電話で社内の仕事を増やさない受け方は決められます。営業電話を断る仕事まで、社内でやる必要はありません。電話対応全体を工程に分けて減らす考え方は電話対応を効率化する方法にまとめています。