
このページの要点
- 会社の電話に出られない時間があるのは珍しくない。「誰かが常に電話番をする」という前提を見直す
- 困るのは出られなかったことより、そのあと誰から何の電話だったか分からないこと
- 留守電・転送・社内対応・AI・電話代行には、それぞれ向く状況がある
- 「電話に出られない」を、人の頑張りで解決しない
会社の電話に出られないのは、珍しいことではない。
会社の電話に出られないときの方法は、一つではありません。留守番電話にする、携帯へ転送する、社内で受ける時間や担当を決める、AI・自動応答を使う、電話代行へ任せる。大切なのは必ず誰かが電話に出る状態をつくることではなく、出られなかった電話をどう扱うかを決めておくことです。
会社の電話に常に出られる人を置けない場面は、どの会社にもあります。
- 外出や客先訪問で、事務所に人がいない
- 接客中で、手が離せない
- 会議中や商談中で、電話に出られない
- 少人数で、電話番のためだけに人を置けない
- 作業に集中していて、電話のたびに手を止めたくない
電話に出られないことは、運用が悪いわけではありません。見直すべきなのは、「誰かが常に電話番をする」という前提のほうです。その前提を置いたままだと、出られなかったときに責められる人が生まれ、出るために本来の仕事を止める人が生まれます。
この記事では、電話に出られない時間がある会社が取れる5つの方法と、それぞれが向く状況を整理します。電話には出られるが対応で仕事が止まる、という問題は電話対応を効率化する方法に分けて書いています。
電話に出られないと、何が起きるのか。
電話に出られなかったとき困るのは、出られなかったことそのものより、そのあと誰から何の電話だったか分からないことです。不在着信の番号だけでは、急ぎかどうかも、折り返すべきかも判断できません。
出られなかった電話のあとに、社内で起きることを並べます。
- 折り返しの対応が必要になる。ただし、誰に、何の用件で折り返すかは分からない
- 不在着信の番号だけが残り、誰からの電話だったか分からない
- 急ぎかどうか判断できず、あとで分かって慌てる
- 相手が別の連絡手段を探す。メールやフォームに切り替えてくれる相手もいれば、次の会社にかける相手もいる
- 取引先や既存のお客様からの必要な連絡への対応が遅れる
これらの共通点は、出られなかったことではなく、「出られなかった電話がそのあとどう扱われるか決まっていない」ことです。決まっていれば、折り返す相手と用件が分かり、急ぎのものから対応できます。決まっていなければ、番号だけを見て考えることになります。
出られなかったことより、そのあと何も分からないことが困る。5つの方法を見るときも、「電話に出られるようになるか」ではなく、「出られなかった電話のあとに何が分かるか」で見ていきます。
方法1|留守番電話にする。
留守番電話は、出られないときに相手へメッセージを残してもらう方法です。導入は比較的シンプルで、その場で電話に出る必要がなくなります。ただし、相手がメッセージを残してくれるとは限りません。
向いている状況
- 電話の件数が少ない
- かけてくる相手が限られていて、メッセージを残してくれる関係にある
- 折り返しが多少遅れても困らない用件が中心
注意点
- メッセージを残さずに切る相手がいる。残されなければ、番号しか分からない
- 残されたメッセージだけでは、用件や急ぎかどうかを判断できないことがある
- 聞き返しができない。聞き取れなかった名前や番号は、そのままになる
- 営業電話もメッセージを残していく。聞いて分ける手間は社内に残る
留守番電話で十分な会社は、たしかにあります。電話が月に数本で、相手が決まっていて、メッセージを聞いて折り返せば済むなら、これ以上の仕組みは要りません。足りなくなるのは、件数が増えたときと、メッセージだけでは判断できない電話が混ざるようになったときです。
方法2|携帯電話へ転送する。
携帯への転送は、会社の電話を自分や担当者の携帯で受ける方法です。場所を問わず電話に出られるようになります。ただし、「会社にいないから出られない」は解消できても、電話に出る仕事そのものは社内に残ります。
向いている状況
- 外出が多く、事務所に人がいない時間が長い
- 電話に出るべき人が決まっていて、その人が出られる
- 電話の件数が、本来の仕事を止めない程度に収まっている
注意点
- 営業電話も、必要な問い合わせも、同じ携帯に鳴る。分けるのは出た本人
- 商談中や作業中に鳴れば、結局出られないか、仕事を止めて出ることになる
- 転送先が一人なら、その人が電話番になる
携帯へ転送すれば、場所は自由になります。でも、電話番は自分のままです。着信を逃さないことと、全部の電話に出ることは同じではありません。ひとりで仕事をしている場合にこの方法で何が起きるかは、個人事業主に電話代行は必要?に書いています。
方法3|時間帯や担当を決めて社内で受ける。
電話当番、担当者、受ける時間帯を決めて社内で受ける方法です。電話の件数が少ない、社内で直接受ける意味が大きい、対応できる人員がいる会社なら、外に出さずに十分に回ります。
向いている状況
- 電話の件数が少なく、当番の負担が小さい
- 取引先や既存のお客様が多く、社内の人が直接出ることに意味がある
- 電話に出ても本来の仕事に大きく影響しない人員がいる
決めておくこと
- 誰が出るか。時間帯ごと、曜日ごとに担当を決める
- 何を聞くか。名前と連絡先だけか、用件までか
- 誰にどう伝えるか。口頭か、メモか、チャットか
- 当番が出られなかったとき、どうするか
外注しなければ解決しない、という話ではありません。社内で受けるなら受けるで、上の4つを決めておくことが、出られなかった電話を放置しないための条件です。決めていない社内対応は、「手が空いている人が出る」に戻り、出た人によって聞く内容も伝え方も変わります。
方法4|AI・自動応答を使う。
AIや自動音声応答は、営業時間の案内や予約受付のように、聞くことと返すことを先に決めやすい電話を自動化する方法です。定型化しやすい電話が多い会社に向きます。
向いている状況
- 営業時間、所在地、申込方法など、答えが決まっている問い合わせが多い
- 予約や折り返しの受付のように、取得する項目を決めやすい電話が中心
- 時間外など、人が出ない時間帯の一次受付をつくりたい
注意点
- 相手の話を聞いてから確認することが変わる電話は、自動化しにくい
- 実際にどこまでできるかは、採用するサービスの仕様で決まる。導入前に確認する
- 自動応答のあと、社内で誰が何をするかまで決めておく必要がある
AIと有人は、どちらが優れているかという関係ではありません。定型化しやすい電話と、会話しながら対応が変わる電話を分けて、どこまで自動化するかを決めます。分け方の考え方はAI電話応対と有人対応の違いにまとめています。
方法5|電話代行へ任せる。
電話代行は、外部のスタッフが会社名で電話を受け、受付の設計に応じて用件の確認や報告、取次を行う方法です。ただし、任せられる範囲はサービスによって違い、電話代行を入れれば全部解決するわけではありません。
向いている状況
- 出られない時間帯があり、その間の電話を誰かに受けてほしい
- 営業電話が多く、社内に届く前に分けてほしい
- 折り返す前に、用件や必要事項を聞いておいてほしい
- 電話番のために人を置きたくない
確認すること
電話代行と一口に言っても、社内へ戻る仕事の量はサービスで変わります。
- 電話を取って「折り返します」と伝えるだけなのか
- 用件や、折り返しに必要な事項まで聞けるのか
- 営業電話か必要な電話か、新規か既存かを分けられるのか
- 営業時間や必要書類など、決まった内容の案内までできるのか
- 報告はメールか、チャットか。担当者へその場で取り次げるのか
取って折り返しにするだけなら、「出られない」は解消しても、聞き直しと振り分けは社内に残ります。当社の場合、決めた受付フローやルールに沿って再現できる受付はProfessionalで対応し、追加の質問や条件による振り分け、決めた内容の案内もこの範囲に含まれます。フローやルールだけでは再現しにくく、経験を要する判断を含む受付は、Custom Designで個別に設計します。分岐がある、追加の質問がある、という理由だけで上位のプランになることはありません。
電話代行そのものの仕組みは電話代行とは?仕組みと、できること・できないことに、導入するかどうかの判断材料は電話代行のメリット・デメリットに、当社で引き受けられることと引き受けられないことは対応できる範囲にまとめています。
大事なのは、全部の電話に出ることではない。
すべての電話に出る必要はありません。でも、必要な電話を放置しない仕組みはいります。電話を内容で4つに分けると、着信したら社員が出る以外の受け方が見えてきます。
- すぐ社内で対応したい電話。重要な取引先、進行中の案件。担当者へつなぐか、すぐ届ける
- 内容を確認してから対応したい電話。新規の問い合わせ、既存のお客様の相談。用件と必要事項を聞いて、担当者へ届ける
- 決まった内容を案内すれば終わる電話。営業時間、所在地、申込方法。受付で案内して完結させる
- 社内へ届けなくてもよい電話。営業電話、間違い電話。受付で終える
この分け方をすると、着信したその場で社員が直接出る必要があるのは、主に1つ目です。2つ目は聞いてから届ければよく、3つ目と4つ目は社内に届く必要がありません。留守番電話でも、社内対応でも、AIでも、電話代行でも、この4つをどう受けるかが決まっていれば、出られない時間があっても電話は放置されません。
業種や用途ごとに、どの電話をどう受けるかを決めた例は受付設計例にまとめています。
電話に出られない時間があっても困らない状態をつくる。
目指すのは、全部の電話に必ず社員が出る状態ではありません。誰が受けるか、何を聞くか、どの電話を社内へ届けるか、出られないときにどう処理するかを決めておくことです。
- 誰が受けるか(社内の当番か、転送先か、自動応答か、電話代行か)
- 何を聞くか(名前と連絡先だけか、用件と必要事項までか)
- どの電話を社内へ届けるか(すぐ対応する電話、確認してから対応する電話)
- どの電話を受付で終えるか(決まった案内で済む電話、営業電話)
- 出られないときにどう処理するか(留守電の扱い、時間外の案内、翌日の折り返し)
この5つが決まると、方法の選び方も決まります。件数が少なく相手が限られているなら留守番電話で足ります。外出が多く、出るべき人が決まっているなら転送で回ります。定型の問い合わせが多いなら自動応答が効きます。営業電話を分けて、聞いてから届けてほしいなら電話代行が候補になります。組み合わせても構いません。
営業時間外も、出るか出ないかを決められる
当社では、お客様の営業時間と当社の受付時間が違う場合も、時間帯ごとに電話の受け方を決めています。お客様の営業時間が当社より短ければ、営業終了後もスタッフが電話に出て、翌営業日の連絡になることを伝えて用件を預かる運用も、営業終了と同時にアナウンスへ切り替えて人が出ない運用もできます。
お客様の営業時間が当社より長い場合は、当社の受付終了後に担当者不在のアナウンスを流し、お客様の営業終了後は業務終了のアナウンスへ切り替える、といった設計もできます。アナウンスは共通のものを使う方法と、会社名や営業時間を入れた専用のものを設定する方法があります。
人が出ればいいとは限りません。営業時間外だと伝えても、その場で担当者との連絡を求められることがあります。だから、出られない時間をどう埋めるかではなく、「どの時間まで人が出て、どこからアナウンスに切り替えるか」まで決めておきます。
「電話に出られない」を、人の頑張りで解決しない。電話に出られる会社をつくるのではなく、電話に出られない時間があっても困らない会社をつくる。決めるのは、出る人ではなく、電話の受け方です。